季節の旅(十二月)

 「山寺に行ってみたい!」以前から妻が語っていた言葉だ。
 キャンピングカーの旅を始めて二年、東北では山形県が空白域として残っている。

 「そうだ、山形に行こう!」そんな思いと、年内に東北全域に足跡を残したいという思いも重なって出発した。

 山形といえば蕎麦の名産地。確かに山形の蕎麦はどこで食べても不思議なほど旨い!

今回の旅でもあちらこちらで蕎麦を食べたが、外れることなくおいしかった。

 妻に先行して旅を進め、山形駅で待ち合わせすることにした。空いた時間を、少し本格的に、山形の歴史と風土を学ぼうと山形県立博物館へ。博物館のある霞城公園は名残の紅葉と静寂に包まれて美しい。

山形の歴史はなるほど東北圏でも少し毛色が違うようだ。前方後円墳などの古代遺跡があることからも、早くから大和朝廷の支配下にあって、稲作や紅花などの産物を最上川水運が都へと運んだ。結果として京の文化が早くからこの地に定着したようだ。

北東北に滲む大和朝廷との戦いに敗れた悲しみの気配はこの地には少ないように感じるのだ。

妻と山形駅で出会い、上山温泉で一泊。雨のそぼ降る朝、山寺に向かった。

山寺は天台宗の高僧、慈覚大師が八百六十年に開山した名刹で、この地を旅した芭蕉が詠んだ「閑さや巌にしみ入蝉の声」の句碑(せみ塚)もある。
山寺到着と同時に雨が上がって晴天の出迎え。
千十五段の階段も名物「力こんにゃく」のおかげか軽やかに登って、奥の院から五大堂。
冬晴れの景色を十分楽しんで、仁王門から山門に戻る。

旅の最後に、駐車した蕎麦屋で仕上げの蕎麦をもう一杯頂いて山形の旅を締めました。

散る紅葉 いのちの光や 五大堂   百合虎