季節の旅(十一月)

 秋の風景はことのほか素晴らしい。
 秋の風景といえば「紅葉」、それも八甲田周辺の紅葉は、日本一といっても言い過ぎでないだろう。
 今年も紅葉を求めて、八甲田大岳頂上から毛無岱を下り、酸ヶ湯温泉に至るコースを楽しもうと計画した。


 山を下りたら温泉で汗を流し、そのまま冷たいビールで喉を潤すというささやかな贅沢を味わうため、キャンピングカーを駆ってつらい急坂の山岳道路をドライブする。
 45分ほどで酸ヶ湯公共駐車場に到着、身支度を調え登山開始。
 すでに周辺の木々は赤や黄色に染まり始めている。
 今朝の血圧が高めであったことも念頭に、「今日は紅葉を楽しむのが第一!」と、自分に言い聞かせつつゆっくりと登る。
 あせらずにカメラのファインダーを覗けば、そこはまた切り取られた風景が「絵画」となって心を癒してくれる。


 一登りして仙人岱避難小屋近くの水場で喉を潤す。
 湿原の風景を楽しむ間もなく最後の急登、頂上付近のガレ場は風を遮る樹木もなく冷たい強風が吹き付ける。
 レインウェアを着て頂上に立つが風だけでなく霧が出て天候悪化。
 昼飯は少し降りた大岳避難小屋と決めてガレ場を降りる。
 一変した悪天候に避難小屋は満員で、数多い台湾からのツアー客の中国語と津軽弁の入り混じった不思議な空間でお茶を沸かしオニギリをほおばった。


 そんな苦労も、上毛無岱から下毛無岱に至る見事な紅葉が吹き飛ばしてくれた。
 快晴ではないが雲が切れて太陽が山を照らすときの美しさは「見事!」としか言いようのない世界。
 「今年も来て良かった!」筋肉の疲れを癒しつつ、見事な紅葉に充実した一日を思い返しつつ温泉の温もりに浸ったのです。


 火照った身体に滲みるビールを飲みながら聴くジャズもまたよし。
 青森の良さ、紅葉の素晴らしさを夢に見つつ夜が更けたのでした。