季節の旅(六月)

 風さわやかな季節となった六月、関東の「五月晴れ」か。
 ちょうど1ヶ月ほど遅い北国の春から初夏は一年でもっとも素晴らしい季節ともいえる。


 新緑と花を愛でる旅に出ることにしたが。青森県内でも行ったことがない方角で、花や新緑の楽しめるところはどこだろう?近頃ではインターネットでの検索で様々な情報が入手できるのがありがたい。

 五月下旬まで「ツツジ祭り」が開催されていた大鰐町あたりはどうだろうか?とさらにネット情報を調べてみる。
 なるほど、温泉も豊富な大鰐温泉郷、茶臼山公園がツツジ祭りの会場なんだ。
 キャンプ場もあるしキャンピングカーでのミニトリップの目的地としては最適なようだ、ツツジは、割と花のいのちも長い方だ、まだ咲いていることを期待して出発した。


 藤崎から弘前、晴れ渡る空に岩木山の勇姿がくっきりと眺められる。
 八甲田の優しい山容に対比して聳えるすがたは男性的だ。
 前方の山に大鰐スキー場のコースが見えて国道を右折し大鰐温泉郷に入る、鄙びた温泉街の街路も懐かしい風情をかもしている、そして急坂を登り切ると茶臼山公園駐車場に着いた。
 明るい陽射しにツツジの花と新緑が絶妙のコントラストで美しい。
 「来て良かった!」ツツジの花々に彩られた遊歩道は「俳句の小径」と名付けられている。
 地元出身の俳人、増田手古奈の句碑「山の温泉や夕鶯のいつまでも」をはじめとして、69の句碑がそこここに建てられている。
 一万五千本といわれるツツジも見事だが、ヤマモミジの新緑も美しく、山野草に混じって万葉の草花も楽しめる園地の旅は、清々しくこころ洗われる旅となった。
 そして、山荘での温泉もやや白濁した透明な湯に身体を沈めると縄文からつづくこの地の精霊に出会えるような想いに懐かれたのである。




帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」 第14号 平成19年6月10日 掲載