季節の風−霜月−


 微光あり錦繍つくす冬紅葉  水原秋桜子


 山の紅葉は秋のうちに散ってしまうものが多いが、
里の紅葉は初冬になってなお残って真紅に美しい燃えるように美しい姿のものもある。
 特に常緑樹の中に残る紅葉は、色の対照で美しく見える。
 日がかげるとまわりの暗さに溶け込んでしまうのだが、
夕日をうけて浮かび上がったときなど、息をのむすばらしさである。

                (「現代俳句歳時記」水原秋桜子編 大泉書店)


 八甲田山の黄葉は今年も見事だった。
 秋の風に誘われて、二度ほど八甲田大岳や井戸岳、赤倉岳まで足をのばしたりしたが、
毛無岱付近に広がる黄葉と草紅葉の彩りの見事さには言葉を失った。
 やわらかい秋の陽射しにつつまれて握り飯を頬張ると、
幸せの実感が身体全体に満ちあふれる気持ちにすらなるのだ。


 日が暮れるように季節は移ろい、山も冬の装いに衣替えしはじめる。
 里にもつめたい風が吹きはじめて、また冬が来ることを告げている。
 食卓に用意した「初じゃっぱ」の旨味が霜月の夜にしみとおるとき、
酒のぬくもりもまたこころにしみていくようだ。


 冬紅葉時雨るるもなお色さやか  百合虎



帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」 第7号 平成18年11月10日 掲載