季節の風−神無月−
はればれとたとへば野菊濃きごとく 富安風生
とくに野菊という種類があるわけでなく、
野辺や空き地に自生する白い菊、紺色の菊をさしていう。
最もよく詠まれるものは、黄色い蘂に青藍色の花びらのついた嫁菜や野紺菊が多い。
その青い花びらが秋晴れの空の下でいっそう青く冴えて美しいからであろう。
(「現代俳句歳時記」水原秋桜子編 大泉書店)
天高く馬肥ゆる秋。みずみずしく甘い果物の実りもうれしい秋たけなわの季節だ。
中秋の名月を愛でてなお、十六夜、立待月、居待月、寝待月と
月を愛でる日本人の豊かなこころが失われがちなのが悲しい。
キレる若者にも、せめて夜遊びのついでに夜空を見上げ月や星の輝きに
こころを洗ってほしいと願わずにはいられない。
一人旅を続けるなかで、秋の山に登りその頂上に立つ。
四方の視界を妨げるもののない透明な空気のなかで、
風さえも見えるような気がするのも秋のせいなのか。
山を下りて道を進むと栗の実が落ちている、
あたりを見回し十数個の栗を得て「うれしい」気持ちに満ちあふれるひとときだった。
さて、秋の夜長に月を愛でながら一献。
独酌もよし、友と汲む酒もよし。さあさあお注ぎしましょう。
むらさきの野辺の小菊に雲高く 百合虎

帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」 第6号 平成18年10月10日 掲載