季節の風−長月−

 をりとりてはらりとおもきすすきかな  飯田蛇笏

 夏の頃青かったすすきも、秋になると穂を出し花を咲かせる。
 それがはらりと解けてつやつやと風になびく姿は美しい。
 これが次第に白く絮となって飛ぶころは枯尾花ということになる。
 丘一面の芒の花が風になびくのは旗芒というが、この風情もあわれ深い。

                   (「俳句日暦」石寒太 PHP文庫)

 残暑きびしい夏も日一日と秋の風情が高まって、
虫の音もさやかに朝夕はめっきりと涼しさを増している。
 秋の七草(萩、桔梗、葛、撫子、尾花、女郎花、藤袴)のひとつ、
芒は尾花とも呼ばれ、昔より歌謡曲や芝居のイメージづくりに多く使われている。

 これも、秋が冬に向かう寂寥の季節であり、
芒の風になびくさまが人生のはかなさに通じるものがあるからだろう。
 「俺は河原の枯れススキ・・・」と唄った「船頭小唄」や、
「貧しさに負けた・・・」と唄う「昭和枯れ芒」など人生の悲しさや貧しさを歌に託しつつ
堪え忍び生きてきた戦前から戦後にかけての時代も平成に入って大きく変わった。

 悲しみや寂しさを感じられなくなった殺伐とした不毛な人のこころが、
日常的な肉親殺しの時代を産み出したのかもしれない。
 青森の豊かな自然を愛しむ心を、次世代にしっかりと根付かせることが大切なのであろう。

 秋まねく手をさしのべし芒花  百合虎


帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」第5号 平成18年9月10日掲載