季節の風−葉月−


 笛そへば祭太鼓の高くなる  中村汀女


 「祭り太鼓」は勇壮で心を躍らせるが、遠く聞く祭り囃子の笛は哀れである。

                  (「現代俳句歳時記」水原秋桜子編 大泉書店)

 今年も「ねぶた祭り」の季節となった。
 東北三大祭りのひとつであり、日本の火祭りとしても全国にその名を轟かせている。
 勇壮な「ねぶた」の美しさと運行の勢い、きらびやかな祭り衣装をまとった跳ね人の群舞、
そして「ラッセラー!」の掛け声を励ますがごとく鳴り響く「ねぶた囃子」に誰もが醉いしれてしまう。


 お囃子に「手振り鐘」が加わったのは新しいことだと聞いたが、
これもまた三位一体の音色に聞き惚れる。
 大太鼓のずんと腹に響く音も、他にはない長く撓る撥のためであろう。

 この余韻を持った響きが哀調を奏でる笛の音に行く夏の悲しみを増幅させ、
鐘の響きに秋の風景を予感させるのだと私は感じている。


 ねぶた祭りの起源は、ガイドブックによると七夕祭りだという説もあるようだ。
 ちょうど旧暦の七月七日を過ぎたところであり、
梅雨明けの夏の夜空には見事な銀河が広がっていることだろう。
 ねぶた祭りの帰り道、祭りの余韻を味わいながら空を見上げてみたらどうだろうか。

 恥じらいも花笠のうち夏祭り 百合虎


帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」第4号 平成18年8月10日掲載