季節の風 −文月−


 分け入っても分け入っても青い山 種田山頭火


  大正十五年四月 解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た

             (「写真句行 はぐれ雲山頭火」小学館文庫編集部編 小学館文庫)

 七月一日は、山開き。富士山を始め各地の山で夏山シーズンの始まりだ。
 最近では団塊の世代を中心とした高齢者の山歩きが静かなブームになっており、
事故のニュースも頻繁に聞かれている。


 四十数年前の私も登山を生活の一部として、毎週末は夜行日帰りの登山に情熱を傾けていた。
 最後は冬山で正月を過ごすまでに昂じていたのだが、
懐かしく想い出されるのは初心者の頃の高原や低山ハイキングだ。


 関東近辺では、尾瀬ヶ原の水芭蕉や、
信州や日光方面の初夏の高原を彩るニッコウキスゲの群落に新鮮な感動を覚えていた記憶がよみがえる。


 そんな、時間と費用と労力を使って得た感動も、この青森の地では割と簡単に得られてしまう。
日常的に豊かな自然に囲まれて生活していると「本当の豊かさが身近にある」ことを
忘れがちになっているのではないだろうか。


 風を染めキスゲの舞やベンセ沼 百合虎  (七里長浜ベンセ湿原にて)


帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ」第3号 平成18年7月10日掲載