季節の風 −水無月−


 夕歩きアカシアの木に花残る  日野草城

 日本ではアカシアと普通呼んでいるものは、
にせあかしあという植物で針エンジュ(木偏に鬼)とも呼ばれている。
互生の楕円形の葉をもっていて初夏、白い蝶々のような房型の花を咲かせる。
(「現代俳句歳時記」水原秋桜子編 大泉書店)

 青森では珍しくない樹木であり、また花でもあるが、
関東地方からきてみると「これがアカシアなのか」と誰でも驚くだろう。
歌謡曲にもよく歌われているが、都会的なイメージの北海道が舞台となっていたりすることから、
初めてアカシアの花に接すると、とまどいを覚えるのも仕方がないことかもしれない。

 青森の6月。豊潤さに満ちあふれた風が吹き、
山の緑や海の蒼さから湧き出るような食の幸もまた満ちあふれて、
まさに「北のまほろば青森」の季節だ。

 たそがれ時にアカシアの森をたどれば、
心地よい初夏の風に白い花房が揺れてかぐわしい香りがあたりをつつんでいる。
あたりの空気がアカシア色に変わって、まるでアカシアのランタンが灯ったように思えるひととき、
「青森に住んで良かった」と、思いませんか。


 アカシアの白き灯や香り散る  百合虎



帝産ファーム株式会社 ニュースレター「瓦ばんっ!」 第2号 平成18年6月10日 掲載